役員賞与の支給は節税になる?損金算入できるケースを徹底解説!

税務・財務コンサルティング
time2020年3月15日
役員賞与の支給は節税になる?損金算入できるケースを徹底解説!

役員賞与とは?

役員賞与とは、社長や取締役など重役である役員に対して、成績に応じ支給される臨時の給与のことを指します。定期的に支払われる「役員報酬」とは違い、「役員賞与」は臨時で支給されるものになります。

なお役員への退職金(退職給与)も、臨時で支給される給与ですが、こちらは役員賞与に含まれないことになっています。

役員賞与は損金算入できる?

そこで経営者の方が気になるのが「役員賞与は損金算入できるか」つまり「節税対策として利用することができるか」という点ですよね。

結論から言うと、残念ながら役員報酬は原則として損金にすることができず、所得税や住民税、法人税が課せられてしまいます。そもそも、経営者に近い立場である役員への突発的な賞与が損金と認められれば、利益操作にもつながりかねません。

つまり「会社の決済日が近づいて計算したところ、かなり利益が出ることがわかった」→「素直に利益を申告して税金を払うくらいなら、役員にボーナスを出して利益を減らそう」と考えて不正な申告をされるのを許してしまったら、税金の公平性が保たれなくなってしまいます。

このような不正を防ぐためにも役員報酬が損金算入できなくなっているというのは、至極当然のことであると言えます。

役員賞与を損金算入できるケースとは?

そんな中、状況によっては役員賞与を損金算入できる例外となるケースが存在します。役員賞与が損金算入できる3つのケースについて、1つずつ説明していきましょう。

税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」を提出した場合

税務署に「事前確定届出給与に関する届出書(以下、届出書とする)」という書類をあらかじめ提出していたケースでは、役員賞与を損金算入できます。どのような手順で手続きをしていけば良いのか、詳しくご紹介していきます。

株主総会を開く

届出書を提出する前には、まずは株主総会を開催する必要があります。開催時期は、届出書の提出期限と関連します。届出書は決算から4ヶ月以内、かつ株主総会から1ヶ月以内に提出しなければいけないので、必然的に株主総会の開催も決算から4ヶ月以内となります。

株主総会では、支給対象の役員名、支給する時期、支給金額(または株式の額面など)を決議し、決議内容は議事録で保存します。

税務署に届出書と付表を提出する

決算から4ヶ月以内かつ株主総会から1ヶ月以内に、届出書とともに「付表(事前確定届出給与等の状況)」を提出しなければいけません。

また臨時改定事由や業績悪化改定事由があった場合には、その変更に関する株主総会が決議されてから1ヶ月以内に変更の届出をしなければいけません。

臨時改定事由:役員の職務権限やその他重大な変更があった場合
業績悪化事由:業績悪化による役員賞与の変更があった場合、ただしこの場合役員の通常給与(役員報酬)も改定されていることが必須

届出書通りの金額で役員賞与を支給する

事前確定届出給与は、届出書に記載したとおり支給されなければいけません。支給対象の役員、支給する時期、支給する金額など、すべて届出書通りに支給しましょう。

これらの項目に変更がある場合は、すみやかに再度届け出をして認めてもらう必要があります。ただしやむを得ない場合を除き、原則として会社都合などによる変更は認められないことには注意しましょう。

使用人兼務役員である場合

一口に役員といっても、役員はいくつかの種類に分けられます。一般的に役員とは、代表取締役、副社長、専務、常務といったいわゆる「重役」のイメージどおりです。

そして「使用人兼務役員」とは、役員のなかでも部長や課長といった使用人としての地位を有する役員のことです。使用人とは会社に使用される者を指すので、要は役員でもあり中間管理職でもあるといったポジションに該当するのが使用人兼務役員です。

このような使用人兼務役員に対する役員賞与は、使用人=社員へのボーナスといった意味合いになり、損金算入することができます。

ちなみに一般的に同族会社である場合は、役職が部長や課長でも使用人兼務役員になりません。つまり、中小企業など同族(家族)が経営する会社では、例え課長でも血縁関係があれば役員と同じで使用人とは言えないのです。

なぜなら、今は課長というポジションにいる社長の長男は、ゆくゆく未来の社長になるケースが多く、これを認めてしまうと実質的な利益操作になってしまうからです。

譲渡制限付株式の場合

役員賞与として支給されるのが金銭ではなく「譲渡制限付株式」の場合は、届出書の提出不要で損金算入できます。それは、譲渡制限付株式が特殊なものであり、金銭のように自由度がないからです。

譲渡制限付株式とは、譲渡が制限された株式のことです。その制限の具体的な内容とは、「勤務を継続する」ことや、「勤務実績が良好でない場合は支給した法人が取得できる」ことが挙げられます。

つまり「ボーナスは株式で支給する。その株式は会社を途中退職しないで、しかもしっかり働らかない場合は会社に取上げられる」といった意味になります。そしてこの譲渡制限付株式の場合は、損金算入が認められています。

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