運転資金とは?7つの種類や目安の金額、正しい計算方法を徹底解説!

税務・財務コンサルティング
time2020年3月22日
運転資金とは?7つの種類や目安の金額、正しい計算方法を徹底解説!

運転資金とは?

運転資金とは、会社を経営する上で必要な資金のことです。会社経営を安定させるためには、この運転資金が必要不可欠です。運転資金があれば、展開できる事業の幅を持たせたり、規模を大きくすることもできます。

しかし、余分な運転資金を用意できる会社は多くありません。そこで、どんな運転資金をどれくらい準備すれば理想的なのかを知っておくことから始めましょう。

運転資金の種類

運転資金は次の7つに大別されます。

・「経常」運転資金
・「増加」運転資金
・「減少」運転資金
・「賞与」資金
・「決算」資金
・「季節」資金
・「赤字」運転資金

それぞれの運転資金の特徴を1つずつ説明していきますのでご確認ください。特徴を理解することで、運転資金がどのくらい必要になりそうかを予測することも可能になるでしょう。

経営運転資金

「経常」運転資金とは、企業が現状維持をしながら経営するために必要な運転資金のことです。日常的に支払う買掛金や手形決済、人件費や家賃、光熱費などの経費がこれに当たります。

増加運転資金

「増加」運転資金は、急激な業績拡大や事業の成長などにより、増加した売掛金や手形などの「資金化」までに発生する支払いを行うための資金です。経常運転資金に追加で必要となる資金のことを指します。

例えば、今までは1日30食売っていた飲食店が、顧客数増加により1日60食提供するようになったとします。このとき、単純に考えて仕入費用はもともとの2倍程度になるようなイメージです。

減少運転資金

売上規模の縮小によって、困難となった支払いを行うための資金のことです。

賞与資金

「賞与」資金とは、社員に対して賞与を払うために必要な資金のことです。賞与支払いをしている会社の場合、毎月かかる人件費に加えて賞与資金を準備しておく必要があります。

ちなみに、社長や役員にボーナスを払うことにしている(事前確定届出給与)会社でも、ボーナスを払う月には大きな資金が必要になります。事前確定届出給与を導入している場合は、社長や役員に対するボーナスの支払いを経費にするために必ず資金が必要になります。

決算資金

「決算」資金とは、決算時に必要となる資金のことです。例えば、納税、株式の配当、役員賞与などがこれに当たります。

資金繰りが厳しくても利益が出ている会社がありますが、そのような会社では、預金が少ないにもかかわらず納税が大きくなってしまいがちです。納税のための一時しのぎではあっても、会社の経営を続けるためには決算資金の融資を受ける必要があります。

季節資金

「季節」資金は、賞与(ボーナス)やシーズンがある商品の仕入れなど定期的に発生する支払いを行うための資金のことです。この「季節」資金の中に、「賞与」資金、「決算」資金を含めて考えることもあります。

例えば、アイスクリームを売っている会社の場合、ほかの時期に比べて夏の時期は売上が何倍にも増加しますよね。春や秋と同じ量の仕入れを夏も行っていては、商品の提供が間に合いません。

そこで夏の時期だけ仕入れを増やします。つまり仕入資金を増やす場合のその増加部分が、「季節」資金と呼ばれるものです。

赤字運転資金

赤字を補てんする運転資金(赤字資金)のことです。これは、銀行が最も融資したくない運転資金でしょう。

運転資金の目安はどのくらい?

上記7つの運転資金の中でも、会社経営の「資金繰り」と理解されている運転資金としては、「経常(通常)運転資金」と「増加運転資金」が一般的です。この2つの運転資金を準備するにあたり、目安となる金額を導き出す計算方法が下記の計算式です。

売上債権+棚卸資産-仕入債務=必要となる運転資金(準備額)

ただし、粗利益が高い場合は必要となる運転資金が少なくなり、粗利益が低い場合は必要となる運転資金が多くなります。そこで、粗利益の3〜6か月分も目安にしましょう。

売上債権

受取手形や売掛金などを指します。つまり、売上には計上されているけれどもまだ現金化されていないものです。

棚卸資産

いわゆる在庫のことです。製造業の場合は、仕掛品もこれに含みます。

仕入債務

支払手形や買掛金などのことです。売上原価には計上されているが、まだ支払っていないものです。

運転資金の詳しい計算方法は?

上記では、運転資金の目安を計算するための計算式を記載しました。しかし、計算式で必要な運転資金額がわかったとしても、運転資金が「適正かどうか」を分析することはできません。運転資金が適正かを分析するためには「回転期間」を分析する必要があります。

回転期間は、売掛金、在庫、買掛金などが、どのくらいの期間で現金になるかを計算して、経営の改善に役立てようというものです。

回転期間を踏まえて経常運転資金を求めるには、以下の数式で算出します。

1.回転期間を計算

売掛債権、棚卸資産、買入債務それぞれの回転期間を以下の数式で計算します。

売上債権・回転期間 = 売上債権 ÷ 1日あたりの売上
棚卸資産・回転期間 = 棚卸資産 ÷ 1日あたりの売上
仕入債権・回転期間 = 仕入債権 ÷ 1日あたりの売上

2.必要な運転資金を計算

各回転期間が算出できれば、
「売上債権・回転期間+棚卸資産・回転期間―仕入債務・回転期間」
で日数を求め、その数字に日商をかけることで必要となる運転資金を算出できます。

ここで理解しやすくするために、1日あたりの売上を表す日商を300万円と仮定し、売上債権が4,000万円、棚卸資産が2,000万円、仕入債務が3,000万円と仮定すると、運転資金がいくらになるかについて考察します。

サンプル1.各回転期間の計算

売上債権・回転期間 = 4,000万円 ÷ 300万円 ≓ 13日
棚卸資産・回転期間 = 2,000万円 ÷ 300万円 ≓ 7日
仕入債務・回転期間 = 3,000万円 ÷ 300万円 = 10日

サンプル2.必要な運転資金

経常運転資金 = 300万円×(13日+7日-10日)=300万円×10日=3,000万円と算出できます。

結果として、いずれの方法で計算しても運転資金額は同じになりましたが、回転期間の概念を取り入れることで事業効率を分析できます。本例では、運転資金が10日分の売上に相当する金額が必要ということがわかります。

必要な運転資金を下げる(資金繰りを改善する)には?

運転資金とは、事業を行うために最低限必要な資金です。運転資金に相当する金額は、売掛金や在庫として固定化するため、資金繰りとしては使えないことになります。

逆に言えば、必要な運転資金が少なくなればなるほど手持ち金額は増え、資金繰りをしやすくなります。中小企業や個人事業主は、運転資金を減らすことで資金繰りを楽にし、倒産するリスクも減らすことができます。

前述の通り、「運転資金=売上債権+在庫-仕入債務」です。

運転資金を減らすには、売上債権もしくは在庫を減らすか、仕入債務を増加させることになります。もう少し具体的に言えば、以下の3つの方法があげられます。

①売掛金などの回収サイトを短くする
②在庫を減らす(回転を良くする、不良・滞留在庫を減らす)
③買掛金などの支払いサイトを伸ばす

売掛金や支払いのサイトを調整することは容易ではありませんが、日常の取引で条件を細かく意識することで改善することは可能です。ただし、そうはいっても得意先に条件交渉ができる会社ばかりではありません。

そこで、ファクタリングという方法がおすすめです。ファクタリングとは、「借入」ではなく、売上債権を売却することによる資金調達方法です。具体的には、回収期日到来前の売掛金を資金化することによって現預金を準備することができます。

それでは、ファクタリングによってどのようにして運転資金を下げることができるのでしょうか?ファクタリングは売掛債権を現金化することで直接的に売掛債権を減少させ、現預金を増加させることができます。

つまり、ファクタリングによって必要な運転資金が減少します。必要な運転資金が過大で、資金繰りが厳しいと感じている経営者は、検討されてみてはいかがでしょうか。

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