出張旅費規程が節税になる?作り方やメリットとデメリットを徹底解説!

税務・財務コンサルティング
time2020年3月15日
出張旅費規程が節税になる?作り方やメリットとデメリットを徹底解説!

目次

出張旅費規程とは?

出張旅費規程とは、会社の出張旅費を定めた規程、つまりルールのことをいいます。みなさんの会社でも、出張をすると通常の給料以外に「日当5,000円」や「宿泊費を含めて日当15,000円」のような手当をもらえることが多いと思います。

出張旅費規程は会社ごとに、従業員の出張旅費について定めるものです。出張旅費規程は、法律で明確に出張旅費の内容や金額が決まっていないため、それぞれの会社で妥当と思える内容や金額で設定する必要があります。

それでは、出張旅費規程を利用して節税できることはご存知でしょうか?ほとんどの会社で存在する出張旅費規程ですが、内容について詳しく知っている方は多くはないと思います。そこで今回は、出張旅費規程について詳しく説明します。

出張旅費規程を作ると節税になる?

出張旅費規程を作成すると、節税効果が見込めます。適正な出張旅費であれば、当然全額経費計上が認められるためです。経費が増えれば、それだけ利益を圧縮することができます。

しかし適正に出張旅費を経費計上するには、出張旅費に関する規程を作って適切に運用しなければいけません。出張旅費規程を作成し、適正に運用することによって節税になるのです。

出張旅費規程のメリット

出張旅費規程を作成することによるメリットは大きく4つあります。どのようなメリットがあるか、詳しくご紹介していきます。

法人税や消費税を節税できる

出張旅費規程を作成することで、法人税や消費税を節税することができます。出張旅費は全額経費計上することができるからです。先ほどもご紹介したため、ここでは詳しくは割愛します。

経費精算の手間を省ける

出張旅費規程を作成すると、経費精算が簡単になります。逆に出張旅費規程がないと、毎回交通費や宿泊費、日当などを実費で精算する必要があります。

出張が少ない会社であればそこまで負担がないかもしれませんが、出張が多い会社になると、出張を行った人の負担も経理担当者の負担も非常に大きくなってしまいます。

しかし出張旅費規程を作成すれば、毎回一定額の支給で管理することができるので、管理が非常に楽になります。

旅費日当の不公平性がなくなる

出張旅費規程を作成することによって、旅費日当の不公平性がなくなります。日当などを出張があるたびに決めていると、必ず不公平感が出ます。

例えば、高級ホテルに泊まったときと格安のホテルに泊まったときの手当を実費にしてしまったり、出張エリアによって都度手当の額を変えてしまうようなことが考えられます。

出張旅費規程で、出張エリアによる手当や宿泊代をあらかじめ決めておけば、このような不公平感は生まれなくなります。

受け取る側は税金がかからない

出張旅費規程を運用して日当を決めると、実額との差額が出ることがあります。この場合、日当の差額は、社員が受け取ることになります。

そしてこの日当は所得税の対象外となるので、非課税で従業員のお金を渡せることになります。出張旅費の金額を想定される実費より少し高く設定しておけば、社員の手元にお金が残ることになるので、日頃頑張っている社員のモチベーションアップにもつながります。

出張旅費規程のデメリット

出張旅費規程のデメリットについても見ていきましょう。出張旅費規程を作成する主なデメリットは大きく2つあります。

規程作成の手間がかかる

出張旅費規程は作成するのに手間がかかるのがデメリットです。出張エリアごとの金額の設定や宿泊費の設定、交通費の設定など細かく作成する必要があります。

しかし一度出張旅費規程を作成してしまえば、あとは状況に応じて微修正を加えるだけなので、そこまで大きな手間にはなりません。最初だけ手間がかかり、運用は楽になるということを覚えておきましょう。

また出張旅費規程の作成には、明確な内容や金額を決めている法律はありません。国税庁のホームページを見ても「通常必要な金額」とあり、実務に即した規程については各会社で作成する必要があります。

出費が増える

出張旅費規程を作成することによって、会社にとっては支出が増えることになります。そもそも出張旅費規程がなければ、手当を従業員に支払う必要はありませんし、出張旅費規程で定めた支給額が実費よりも高くなる可能性もあります。

出張旅費規程を作成することによって、全額経費計上することは可能になりますが、会社側からみると余計な支出が増えることになります。

出張旅費規程の作り方

それでは、出張旅費規程はどのようにして作成するのでしょうか。ここでは、出張旅費規程の具体的な作り方について説明します。出張旅費規程を作成する際のポイントは主に4つです。

目的を決める

出張旅費規程を作成する際、何より初めにやることは、出張旅費規程の目的を決めることです。出張旅費規程が何の目的で作られたかを明確にしておく必要があります。

「役員や従業員が社命により出張する場合の日当、その手続きに関して定める」のように、出張旅費規程の目的を明示しておく必要があります。

適用範囲を決める

出張旅費規程の適用を受けられる範囲を決めておく必要があります。

基本的には全社員が対象になりますが、アルバイトやパートの出張が想定される場合は「正社員以外の者は監督者の承認を得て本規程を準用できる」と記すようにしましょう。

出張の定義や区分を決める

出張の定義や区分を決めることも重要です。出張する場所によっては日帰りで帰れる場合もあれば、宿泊が伴う場合もあります。

また距離によって従業員の負担は大きく変わってくるので、距離によって日当の金額を変えることも一般的です。具体的に「○○㎞以上の出張の場合の日当は○○円」のように定めておくようにしましょう。また役職によって手当の額を変えるのも良いでしょう。

旅費の種類と支給額を決める

旅費の種類と支給額を決めることは、出張旅費規程を作成する際、非常に重要なポイントになります。旅費の種類は一般的に、出張手当・交通費・宿泊費に分かれます。

出張手当

出張手当の日当に関しては、近場の出張の場合と遠方の出張の場合で分けるようにしましょう。例えば宿泊を伴う出張の場合、日帰り出張の場合に比べて負担が大きいので、日当の金額は大きくするようにしましょう。

出張に伴う日当の上限は明確に決められていませんが、同業他社の日当を参考にするのが一般的です。

交通費

交通費に関しては役職で分けることが一般的です。例えば「役員の場合、飛行機はビジネスクラス、新幹線はグリーン車の利用が可能、その他一般の従業員の場合、飛行機はエコノミークラス、新幹線は一般席の利用分が支給される」といった具合です。

また、タクシーやハイヤーの使用基準についても決めておく必要があります。

宿泊費

宿泊費については自由に設定することができますが、一般的には1泊6,000円~16,000円となっていることが多いようです。もし実際に使った宿泊費が出張旅費規程よりも少なくても、社員には定額で支払っているため定額を経費精算することができます。

出張手続きを決める

出張旅費規程を作成する際は、出張手続きを決めることも重要です。出張申請書や出張旅費精算書などのフォーマットや書き方、提出期間、提出方法など細かく決めておく必要があります。

出張に関する書類は後程詳しくお伝えしますが、税務調査が入った際に提出が求められるものです。しっかりとしたルールを決めておかないと、不測の事態をまねていてしまうかもしれません。

出張旅費規程を定める際の注意点

出張旅費規程を定める際の注意すべきことはあるのでしょうか。ここでは、出張旅費規程作成時の注意点について説明します。出張旅費規程を定める際の注意点は主に4つあります。

全社員を対象者とする

出張旅費規程を定める際は、役員だけでなく全社員を対象にすることが義務付けられています。社長や役員などの役職の高い人のみに支給することは認められていません。

ただし、役職によって支給額に差を付けることは認められています。支給額に差をつけたい場合は、出張旅費規程もその旨を明記する必要があります。

またアルバイトやパートを対象とするかどうかは義務ではありませんので、対象とするかどうかを定める必要があります。

支給額が妥当であるか確かめる

支給額が妥当であるかどうかのチェックは、出張旅費規程を作成する際には注意して行うようにしましょう。同業他社と比較して支給額が高すぎたり低すぎたりしないか、役職によって支給額に違いがありすぎないかなどをチェックするようにしましょう。

あまりにも不公平があると、社員のモチベーションを下げることになってしまいます。また同業他社と比較して支給額が高すぎると、税務署から税金対策であると思われてしまうかもしれませんので注意するようにしましょう。

出張報告書を作成する

出張旅費規程を運用をするにあたって、出張報告書はきっちりと作成する必要があります。もちろん自社の経費確認のためにも必要ですが、出張報告書は税務調査が入った場合に提出が求められる書類です。

しっかりとした出張報告書を作成していないといざ税務庁が入った際に、大きな問題になります。税務対策のために出張報告書を作るわけではありませんが、あらぬ疑いがかかることを避けるためにも、しっかり出張報告書を作成するように社内体制を整備するようにしましょう。

例外規定も定める

出張旅費規程を作成する際は、例外規定も作成するようにしましょう。すべての出張がルール通りの基本的な内容のものばかりとは限りません。

例えば海外出張であったり、定めたルールの範囲外の出来事が起こることも十分想定されます。例外規定を作成することによって、予想外の出来事による不要な支出を抑えることにつながるかもしれません。

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