運転資金を融資してもらうためのコツ!銀行からの上手な借り方とは?

税務・財務コンサルティング
time2020年3月22日
運転資金を融資してもらうためのコツ!銀行からの上手な借り方とは?

目次

「運転資金の融資を受ける」とはどういうこと?

 

運転資金の融資を受けるとは、

 

「事業を継続するために必要なお金を借りること」

 

です。

 

そして運転資金とは、会社を経営するのに必要な資金のことであり、事業資金から設備資金を引いた金額になります。

 

事業資金には、運転資金と設備資金があります。

 

設備資金:オフィス機器や店舗など、設備を導入するための資金
運転資金:仕入資金、人件費、家賃など、事業活動に必要な活動のための資金

 

運転資金は非常に広い意味があるので、「運転資金は、設備資金以外の事業資金」と理解するのが一番わかりやすいです。

それほど難しく考える必要はありませんが、金融機関で実際に資金調達する際には、設備資金と運転資金はかなり性質が異なるので注意が必要です。

 

事業を継続するには、運転資金が欠かせません。経営は順調でも、ちょっとした取引状況の変化が原因で運転資金が急に不足することもあり得ますよね。

 

安定した事業経営のために、必要十分な運転資金は欠かすことができません。逆に言えば、スムーズに運転資金の融資を受けられれば、安定した経営を続けることができます。

 

 

運転資金を融資してもらうときの4つの調達先

公的金融機関

 

まずご紹介するのは、公的金融機関から受ける方法です。

 

公的金融機関とは、「国の経済発展や産業拡大」のような公的な目標を持つ、国などが運営する金融機関です。この公的金融機関は、公的な目標を達成することが理念であり、営利目的の活動はしていません。

民間の金融機関に比べると、担保・保証人の有無や融資期間、金利などの借入条件は易しめな傾向にあります。

 

公的融資の具体例としては、日本政策金融公庫(国民生活事業)の融資です。金利は担保・保証人の有無など融資条件によって変動しますが、いずれにしてもかなりの低水準です。いちばん高い金利でも年利2.75%と決まっています。

民間大手金融機関

 

次に、民間大手金融機関から融資を受ける銀行融資です。民間大手金融機関とは、都市銀行、地方銀行、ネット銀行などのことを指しています。ここには信用金庫なども含みます。

 

担保や保証人が必要で、銀行融資は概して審査難易度が高いことで知られています。顧客の預金口座内の現金が元手になって融資をするため、貸倒れになってしまうと顧客のお金を勝手に紛失したことになり、銀行としての信用問題にかかわるからです。

 

また、融資条件に担保や保証人が必要となるケースも多く、法人が融資希望を出すときは連帯保証人を求められることも多くあります。

 

民間大手金融機関における審査難易度は、厳しい順に以下の通りです。

・都市銀行:ゆうちょ銀行や三菱UFJ信託銀行など
・地方銀行:横浜銀行やスルガ銀行など
・ネット銀行:ソニー銀行や楽天銀行など
・信用金庫

 

銀行融資の具体例としては、三井住友銀行の「中小企業向け融資 ビジネスセレクトローン」があります。その名の通り融資対象は中小企業で、使途を「事業資金」に限定しています。メガバンクの融資なので借入可能額はかなり大きく、最高で1億円です。

 

好条件での借入が可能ですが、審査の際は代表取締役全員が連帯保証となることが必要です。金利は審査結果によっても変わってきますが、変動金利なら2.125%からとなります。

ノンバンク系金融機関

 

ノンバンク系金融機関とは、公的融資や銀行「以外」のノンバンク系金融機関から融資を受ける、いわゆるビジネスローンです。

 

ノンバンクは銀行以外の与信業務に特化した金融機関を指しており、オリックスなどが代表例です。

ノンバンクのビジネスローンは「必要書類が少なく、審査通過率はやや高め」という特徴があります。ノンバンク系金融機関は、銀行から借入して調達した資金を有志に出しているので、多くの方に資金を貸して利益を出さないと銀行に返済できないためです。

 

ノンバンク系金融機関の審査を受けるのは、公的融資や銀行融資を断られた企業がほとんどです。金融機関における審査を通過できないような経営状態の企業に融資することになるため、それだけ貸し倒れ(回収できない)リスクは高いと言えます。

 

しかしノンバンク系金融機関は、そのような企業に融資することで経営を成り立たせているため、審査基準が比較的甘いです。一方で金利が高いケースや借入上限額が低いケースもあるので、借入条件は審査前によくチェックしておいてください。

親戚や知人

 

最後にご紹介するのは、親せきや知人などの「個人」からお金を借りる方法です。

 

多くの中小企業や個人事業主にとって、ビジネスローンの審査基準が高いと感じることは少なくありません。また、いざ融資を申し込んでも落ちてしまい、時間を無駄にしてしまう場合もあります。中小企業や個人事業主の方であれば、個人間での借金というのも選択肢の1つになってきます。

 

個人の貯金額としておかしくない金額(50万円程度)なら、ビジネスローンより好条件でお金を借りられる可能性もあります。

 

ただし個人間の借金は、あらゆる手を尽くしたが融資を受けることができなかったときの最終手段としてとるべき選択肢であるということは認識しておきましょう。

 

親戚や友人との今までの信用をすべて失う可能性があるため、相談するかどうか、どのように依頼するかはよく検討しましょう。

 

また、現金借入のみならず、私募債や株券を購入する資金調達方法もあります。投資の意味合いに近く、私募債には節税効果もあるので、検討してみてもいいかもしれません。

実際に、親せきから借金をして上手くいっている事例がありますが、そのような事例では親せきどうしの関係が元から良好であることが多いです。

 

金融機関に運転資金を融資してもらうためのコツ

 

運転資金を借りるために大切なポイントをご紹介していきましょう。

 

安定した事業経営のためには、必要十分な運転資金は欠かすことができません。自己資金から運転資金を確保できるのが理想かもしれませんが、実際には難しいことが多いものです。

 

そこで、運転資金を融資してもらうためのポイントを3つにまとめました。

融資を希望する「期限」「金額」「理由」を説明できるようにする

【期限】いつまでに借入が必要なのか、明らかにする

 

資金の使いみちがはっきりしていないと、借入希望日も曖昧になってしまいがちです。

 

実は私たちが「審査担当者に伝える情報」は、全て融資の可否につながっています。審査の可決率を上げるには、「売上アップのため、6月1日までに新商品を1,000万円ぶん仕入れたいので、それまでに借入したい」といったような具体的な説明をします。

そうすると経営方針や社長の熱意、信頼が伝わり、借り入れできる可能性がアップします。

 

【金額】いくらの借入が必要なのか、明らかにする

 

運転資金の計算式:「売上債権+在庫-仕入債務」

 

上記の数式から、理論上の運転資金が計算できます。そしてこれが、「いくらの借入が必要なのか」の答えになります。

 

しかし、飲食店のように現金入金で在庫もあまりない業態の場合は注意が必要です。なぜなら、必要な運転資金を算出してみると、極端に少ない数字もしくは「マイナスの数字」が出てしまう可能性があるからです。

 

実際飲食店では、「運転資金をあまり必要としない」ケースが多いです。そのようなケースでは、審査担当者もなかなか納得しにくいでしょう。その場合は「資金繰りを改善したいので、長期で融資を受けたい」と伝えるのも一つの方法です。

 

【理由】なぜ借入が必要になったのか、明らかにする

 

借入が必要となる理由と言っても分かりにくいと思いますので、次のように分析してみました。

 

今回あなたの企業が運転資金の借入を必要としたのは、使いみちからすると「どの要因」からでしょうか。

 

増加運転資金:売上と支払う諸経費が急速に増えて、通常の売上金の回収だけでは間に合わなくなったから

 

経常運転資金:得意先からの売上入金が手形になってしまったから、売上アップを図るべく新商品を仕入れたいから

 

上記のように、金融機関の審査担当者が納得できるよう借り入れが必要になった理由をまとめておいてください。社長自身が金融機関に「明確に、理由を説明できるか」が、運転資金の融資を受けるコツになります。

妥当な金額で申し込む

 

運転資金の計算式を知った上で、いったん自社の財務状況を細かく確認しておかねばなりません。

 

経営者の方はどうしても「いつでも使える運転資金は多ければ多いほど安心」と思いやすいものです。

しかし、融資による運転資金の調達は月々の支払いも増やすことになるので、「多ければ多いほど良い」わけではありません。

 

そこで、売上債権と棚卸資産を減らせれば必要な運転資金を減らせます。売上債権を減らすには回収をシビアに見直して、回収タイミングを可能な限り早めることが有効となります。また棚卸資産は「過剰在庫」があれば処分することで減らせます。

 

安易な資金調達に頼るのではなく、見直すべきポイントを確認しましょう。そのような経営者の姿勢も、金融機関は見ています。

 

以上のように、きちんと必要金額を計算して、妥当な金額で申し込むことで審査に通りやすくなります。

稟議書に添付する資料を用意する

 

融資を受けるには、審査を通過する必要があります。

 

融資担当者は、借入申込を受けたら稟議書を作成し、上司、その上司、そのまた上司と、順番に決裁をもらわねばなりません。

金融機関という組織の中でスムーズに稟議書が決済されるためには、稟議書自体も大切ですが、稟議書に添付される資料が非常に重要です。例えば得意先との取引を証明するような資料があれば、稟議書にも説得力がプラスされて、審査が通過しやすくなるのです。

 

その資料をこちらから用意することが大切です。資金繰り表を正確に作成したものを提出すれば、しっかりとした経営者というイメージになりますし、担当者もチェックだけで済むので印象が良くなります。

 

なお、足りない資料は担当者が推定しながら作成することも実際にはあるので、完璧なものを作成しようとしなくても大丈夫です。

 

もし手元に提出できる資料があるのであれば、指示される前に提示したほうがより印象はよくなることを覚えておきましょう。

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